DeNA勝又の執念がチームを加速させる――育成から這い上がった男の「覚悟」

横浜DeNAベイスターズの勝又が3安打4打点の大暴れで存在感を示している。投手から野手転向、戦力外通告を経験した苦労人が、今のチームに不可欠なピースとなるまでの軌跡を追う。
横浜DeNAベイスターズの勝又が、今、チームに新たな風を吹き込んでいる。点の奪い合いとなった試合で見せた3安打4打点の活躍は、単なる好調という言葉だけでは片付けられない、彼が歩んできた道のりの重みを物語っていた。
どん底からの逆襲、4打点の輝き
試合は両チーム譲らぬ激しい攻防が続いた。五回、3点差を追い付いた後の2死二塁という緊張感あふれる場面で、勝又の打席が回ってきた。相手投手の5球目を迷いなく振り抜くと、打球は中前へと転がり、勝ち越しの適時打となった。さらに七回には再び中前打で2点を追加し、八回にもダメ押しの1点をたたき出すなど、終わってみれば4打点という圧巻の数字が並んだ。
「食らい付いていった結果」と本人はいたって謙虚に振り返るが、その打席での集中力には鬼気迫るものがある。インフルエンザで離脱した梶原の代役として11日に緊急昇格して以降、出場する全試合で安打を記録するなど、打つだけでなく守備でも躍動を見せている。指揮官である相川監督が「とても努力してきた。最後に信じたくなるような選手」と全幅の信頼を寄せるのも納得の働きだ。
投手から育成、そして今へ
勝又のキャリアは決して平坦ではなかった。2019年にドラフト4位で投手として入団したが、思うような結果を残せず、戦力外通告という厳しい現実を突きつけられた。そこから育成選手として野手へ転向するという決断を下し、雌伏の時を過ごしてきた。かつてのマウンドを去り、バット一本で生きる道を選んだその覚悟が、今の勝負強い打撃を支えているのだろう。
本人が残した「あした死んでもいいぐらい、野球ができなくなってもいいぐらいの準備をしている」という言葉には、背水の陣で挑む者だけが持つ独特の凄みが漂う。一日一日の練習を人生最後のそれのように取り組む。その積み重ねが、今のチームに欠かせない泥臭い強さを生み出していることは間違いない。
「信じられる選手」が必要とするもの
プロ野球の世界では、華やかな才能がスポットライトを浴びる一方で、一度は光が当たらなくなった場所から這い上がってくる選手の物語が、ファンを強く惹きつける。勝又の場合、その背景にある「挫折」と「転向」というプロセスが、彼を単なる一軍選手以上の存在に変えたのかもしれない。
チームが4連勝という勢いに乗る中で、勝又のような存在はベンチの雰囲気を変える重要なピースとなる。レギュラー争いの激しさは増すばかりだが、彼が見せる泥臭く、そしてひたむきな姿は、これからのチームの戦いに欠かせないエッセンスとなるはずだ。名もなき場所から駆け上がってきた男の覚悟が、DeNAをどこまで高みへと導くのか。その一打一打に、これからも目が離せない。