岩手・大槌の山林火災、焼損1618ヘクタールに 薬剤で延焼防止へ

岩手県大槌町の山林火災は発生から6日目。焼損面積は約1618ヘクタールに拡大し、県などは消火薬剤で早期鎮火と再燃防止を図る。
岩手県大槌町の山林火災は27日も燃え続け、発生から6日目を迎えた。焼損面積は約1618ヘクタールに拡大している。
火災をめぐって県などは、消火活動の“次の一手”として薬剤の投入で延焼を食い止め、早期の鎮火と再燃防止につなげる方針だ。現場では、熱源の把握を進めたうえで、住宅地に近い場所を中心に消火薬剤をまいていくという。
町によると27日午前6時時点の焼損面積は、小鎚地区で約446ヘクタール、吉里吉里地区周辺で約1172ヘクタール。前日からの増加分は約245ヘクタールで、勢いは弱まっている様子が見えにくいまま推移している。
この火災では、住宅への延焼は防ぐことができている一方、風向きが変わるたびに炎の広がり方が変わり、住宅や学校に迫る場面がたびたび起きている。消火したはずの場所から煙が立つなど、収束の見通しが立たない状態が続いている。
早期の鎮火と再燃防止に向けて、県などはヘリコプターやドローンで熱源を調べる作業を進める。火の勢いが出ている箇所だけでなく、再び燃え上がり得る“点”を見つけ、住宅地の近くに優先的に対処する狙いがある。
一方で人的被害も報告されている。県などによると、吉里吉里地区で消火活動中の40代男性が、鉄製の消火栓のふたに右手を挟まれ打撲の軽傷を負った。これにより、この火災に伴う負傷者は、避難所で階段から転倒した60代女性に続き2人となった。
長期化する山林火災は、地形と風の影響を受けやすい。斜面や植生によって火の通り道が変わり、鎮火の判断を難しくする。消火隊が一度は抑え込んでも、風の流れが変わるだけで火が“別の場所”に現れることがあり、結果として住民の体感としては止まっていないように見えやすい。
大槌町では、学校や住宅が近い場所まで炎が迫る局面があるだけに、生活の不安は長く残る。実際、近隣で煙が上がるたびに避難の準備をする気持ちが重なり、地域の疲弊も深まりやすい。消火活動は自治体だけでは完結しないが、現場の判断が一刻ごとに求められる以上、住民にとっては情報の更新が欠かせない状況だ。
焼損面積が拡大している点も、今後の対策の重さを示す。約1618ヘクタールという規模になると、地表の状態や燃え残りの分布も一律ではなくなり、薬剤の散布だけで即座に終わる話ではない。だからこそ、熱源調査と散布の組み合わせが成否を分ける。状況によっては、再び煙が見えるまでの時間を延ばし、延焼のリスクを下げること自体が大きな成果になる。
今後は、薬剤投入の効果がどこに現れるかが焦点になる。風向きの変化に左右されるだけに、現場は“今燃えている場所”と“次に燃える可能性がある場所”を丁寧につなげていく必要がある。三陸沿岸の地域では防災への関心が高いぶん、再発防止の工程が見えない時間が長引くと、住民の不安も増幅しやすい。火災の鎮静化までの道のりが、どれだけ短縮できるのかが注目される。